丹羽眼科 ─ Niwa Eye Clinic

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記事・論文など

緑内障

丹羽やす子先生

緑内障は目の中の神経が障害を受けて、徐々に見える範囲が狭くなっていく病気です。
2005年の疫学調査において、40歳以上の20人に1人が緑内障であるという結果が得られています。
さらに60歳以上では、有病率が急激に高くなることも報告されています。高齢化が進む現代社会では、緑内障はこれからも増え続ける病気であると推測されます。

眼圧と緑内障

眼の中には血液の代わりとなって栄養などを運ぶ、房水と呼ばれる液体が流れています。
眼の形状は、この房水の圧力によって保たれており、この圧力を眼圧と呼んでいます。眼圧は時間や季節により多少変動しますが、ほぼ一定の値を保っています。
正常眼圧は10~20mmHgとされており、21mmHg以上の眼圧を高眼圧と定義しています。
緑内障とは眼の中の神経が眼圧によってダメージをうけ、見える範囲が狭くなる病気ですから、以前は眼圧が高い人がかかるものと思われていました。
しかし、眼圧が正常でも視神経がダメージを受け視野が狭くなるタイプの正常眼圧緑内障が日本人に多いとわかり、眼圧のみで診断は行われなくなってます。

緑内障の種類と症状

一口に緑内障といっても、さまざまな種類があります。
眼圧が慢性的に高い開放隅角緑内障。眼圧が正常の正常眼圧緑内障。急激に眼圧が上がりやすい閉塞隅角緑内障
糖尿病や膠原病により2次的に引き起こされる続発性緑内障
一般的な緑内障とは開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障をさし、自覚症状がほとんど無く、知らないうちに病気が進行していることが多くあります。
視神経の障害がゆっくりと起こり、見える範囲も少しずつ狭くなっていくため、初期の緑内障では眼に異常を感じることはありません。
しかし、閉塞隅角緑内障とよばれる急性タイプの緑内障では、急激に眼圧が上昇するため、眼の痛みや頭痛、吐き気など激しい症状をおこしますので、至急の治療が必要となります。

治療

緑内障の治療として最も確実な方法は、眼圧を下降させることです。
緑内障治療には薬物治療、レーザー治療、手術治療があります。
現在、眼圧下降に効果の高いさまざまな目薬が開発され、ほとのどの緑内障は目薬で治療できるようになってきています。
緑内障は、数年から数十年かけて進行する慢性の病気ですので治療においては、時間的負担、経済的負担も考慮が必要です。
個人個人に適した治療を、担当医と相談し選択することが大切です。

緑内障の早期発見のために

前述のように緑内障にはいろいろなタイプがあるため、診断にあたっては、さまざまな検査結果を総合的に評価する必要があります。
人間ドックなどで「緑内障疑い」と診断された場合でも、まずは不安がらずに眼科を受診することが大切です。特に眼科専門医による眼底検査は、緑内障発見のチャンスが最も高い検査法のひとつです。
近年、眼底検査の所見を数値として表すために、さまざまな精密測定機器が登場してきています。目の機能を評価する検査である視野検査も短時間で行えるようなプログラムが搭載されるようになりました。

当院では、視野測定の結果を時系列で比較検討できるハンフリー ビーライン解析というソフトや視神経繊維層の厚みを測定出来るOCT(図2)を導入しております。ビーライン解析は検査結果をグラフ化し、瞬時に視野障害の進行度を判定できるソフトです。
視野障害の程度と悪化スピードがわかるため、治療変更・レーザー時期・手術時期の判定にも有用であるとされています(図3)。

また、緑内障の視野欠損は神経繊維が30%以上障害されて出てくるといわれています。視野の欠損より先に出てくる神経繊維層の厚みをOCTにより測定することでより早期の治療が実現出来ます。
緑内障による視神経の萎縮、視野の変化を元に戻す方法はありませんが、病気の進行を食い止めるための様々な治療法があります。早期発見、早期治療が視力障害を予防するための最も有効な方法です。
緑内障早期発見のために、40歳を過ぎたら一度眼科を受診されることをおすすめします。

図1)視神経繊維層の厚みを測定出来るOCT
図1)視神経繊維層の厚みを測定出来るOCT

図2)ハンフリービーライン解析
図2)ハンフリービーライン解析